もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

「バイトがないなら、ウチに帰るしかないよな」



独り言を呟きながら、学校からの道程を歩いていた。



バイトとはウリのこと。



公の場で堂々と“ウリ”なんて言えない私達は“バイト”と呼ぶことにしていた。



そうすることで、悪いことをしているなんていう感覚も、いつの間にか吹っ飛んでいた。



別に今から誰かに連絡をとって、会うことはできるけど、“1人”ということに抵抗がある。



始めから瑠伊と2人だったせいか、バイトは2人でしかやらない。



瑠伊は1人でも関係ないみたいだけど、私には出来なかった。



いつもの場所に立つことは勿論、“居場所”の男達に会うことすら躊躇ってしまう。



結局は1人じゃ、何も出来ない臆病者。



共犯者がいる安心感の中でしか出来ない自分が腹立たしかった。
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