もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
「飲み込みが早いな、私」
なんて、考えている場合じゃなかった。
この捕まれた左手をどうにかしないと。
「無視して、通り過ぎるなんていい度胸だな」
今、私の左手首を握り締めているのは、さっきから聞こえていた声と同一人物。
……ってことは、さっきから私に話し掛けていたんだ。
知り合いか、人違いか、道を訪ねたいのか……最悪痴漢?!
それを、確認するために左手首から、視線をゆっくりと上へあげた。