もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

「あのぉ~何か用ですか?」



ダメかもしれないけれど、取り敢えず話し掛けてみた。



しかも、めったに使わない敬語で。



「用があるから話し掛けてんだろ!!」



「そうですよね。で、用とは?」



男の口調にイラっとしたけど、ここは我慢して下手に出るべきだ。



「お前、繁華街の改札前によく居るよな?」



えっ?



私のこと知ってるの?



もう一度、男の顔をよーく見てみたけど、やっぱり私には、こんな真っ黒な知り合いはいない。



もしかして、瑠伊の知り合い?!



「ウリかなんかやってるよな?」



見ず知らずの男に、そんなことを突然聞かれて


「やってるよ」


なんて、言える度胸は持ち合わせていない。



だから、黙るしかなかった。
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