もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
大声男のお陰で、痴漢野郎が痴漢野郎じゃないことがわかり、急に全身の力が抜けてしまった。
「おい!!お前……何やってんだよ!!」
「な、何って、腰が抜けた全身バージョン?!」
バランスを崩して支えてもらってた腕に、全体重をかける。
敢えて、そうしているわけじゃないんだけど、本当に力が入らない。
だって、数秒前まで私は殺されると思っていたんだから当然だ。
「訳わかんないこと言ってんな。立てよ」
私だって、元痴漢野郎の力なんて借りたくないけどさ、仕方ないじゃんか。
「何、いちゃついてんだ?」
そう言いながら、大声男が近づいてくる。
「違げぇよ。コイツが動けねぇ」
そうそう、私は動けないだけ。
だれが、元痴漢野郎といちゃつくもんか。