もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
あっ、小枝。
別に木の枝なんて、珍しいものでもなんでもないけど、現実逃避の続きをするために、しゃがみ込んだ私は小枝を摘み上げた。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「…………」
「ねぇ、ねぇ、何ちゃん?俺はミキヤ。ねぇ、ってば」
しつこい。
瑠伊並みにしつこい大声男は、私の隣にしゃがみ込み顔を覗き込んでくる。
まだ、キレた余韻で心臓がバクバクしている中、小枝でゆっくりと砂浜に文字を書いた。
“純麗”
自分の名前を砂浜に書いた。