信愛~I love you…?~
「今日はこのクラスを担当する
研修生を紹介します。」
そういうと教室のドアが開いた。
みんなの視線がドアの方に向く。
視線の先には、男の人。
新しいスーツに身を包み
黒い髪は少しワックスで動きをつけている。
背が高く、
服の上からでも体つきが良いのがわかる。
誰から見ても、イケメンだ。
ふと目が合った。
心を見透かすような彼の目から
視線をそらすことができなかった…
「?…斎藤さん?」
彼は名前を呼ばれると
一瞬焦ったように目を開き、
私から視線をずらした。
そして、落ち着いた顔で教卓の前にたった。
「斎藤 零(さいとうりょう)です。
よろしく。」
挨拶を終え、ふんわりと微笑んだ。
「ね、綺!めっちゃかっこよくない?
うちのクラスついてるね!」
妃菜だけでなく、
クラスの女子ほとんどが
新しく来た先生に
テンションがあがっていた。
「で、早速だけど数学係!
新しい教材を斎藤先生と
とってきてくれ。」
数学係…。………………私だ。
「綺じゃない?いいなー。」
妃菜は羨ましそうに私にいった。
できれば、かわってほしいよ…。
「じゃぁ、数学係さん。
一緒に来てください。」
斎藤先生はそういって
ドアに手をかけた。
私はしぶしぶと先生の元にいく。
その時、さっきとは打って変わって
妃菜はニヤニヤしながら
いってらっしゃ〜い。と
手をふっていた。