信愛~I love you…?~



静かな廊下を先生と二人歩く。

2人とも何かを話すこともなく
沈黙が続いた。




"数学準備室"と書かれた部屋についた。

ここはお世辞にも綺麗とはいえない
くらい整理されてない。

でも、新しい冊子はその中では異様に
綺麗ですぐに見つかった。



「これですか?」


「あぁ。」


私は棚の上の教材に手をかけた。

教材をとり、
すぐに教室に戻ろうとした時…


同じ棚の上にあった
整理されてない本たちが
ドサドサっと落ちてきた。


ぶつかる…!と思い、
反射的に目をつぶって
痛みに耐えようとした。

でも、痛みが来ることはなかった。


痛みどころか何か温かいものに
包まれている感覚がした。


「大丈夫か?」


頭の上から先生の声がした。

先生は心配そうに
私の顔をのぞきこんだ。

助けられたんだ…


先生の方に顔をむけると
予想してたよりも至近距離で
とっさに顔を伏せてしまった。


「あの、…大丈夫です。
 ありがとうございます…。」


そういって先生から離れようとした。

だけど、できなかった。

先生の抱きしめる力が強くなったから…。


「あ、ごめん。」



先生が力を緩めた。


私は先生から離れ、
教材を手にした。


「私、教室に戻ります。」


そういって足早に準備室を出て、
教室へ戻った。








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