信愛~I love you…?~



 -零side-


俺が教室に入ると、
女子がざわつきだした。


自分でもいうのもなんだが、
容姿が悪い方ではない。

今までもそうだった。


だけど…、
1人だけ違った。


透き通った肌にクリッとした目、
黒くて綺麗な長い髪。


高校生にしては大人な容姿で
すぐに目についた。


吸い込まれそうな瞳の彼女を
なぜか、じっと見つめていた…



自己紹介も終え、
教材を取りに行くことになった。



数学係の彼女、桐田 綺と
2人教室を出た。


無言が続き、
準備室まで何を話すことなかった。


彼女が教材に手をかけると
同じ棚の上にあった本が
彼女の頭に落ちてきた。


俺はとっさに体が動き、
彼女をかばった。


怪我をしていないか心配で
顔を覗きこむと、
彼女が顔を上げる。


すぐにそらされ、
離れようと体を動かした。


俺は動きをとめるように
腕に力を加えた。


彼女を抱きしめて
離したくないと思った。



彼女の体が固まったのに気づき、
俺は我に返った。

…なにやってんだ。


腕から開放された彼女は
教材を手にとり、
足早に教室へ戻っていった。






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