ゲーム
「お前さ、本当に伊織のことふれんの?」

「あぁ?いきなり何を言ってんだよ」

麻斗の考えが読めない。

ふって来い言ったくせに、今度はふれるのか?と来たもんだ。矛盾してるぞ!!

「伊織って良い子だよな」

「あぁ」

「お前、騙してて何の罪の意識も無いのか?」

「お前が始めたことじゃねぇか。罰ゲームに伊織代夏と付き合って来いって」

「お前、拒否らなかっただろ!」

オレのせいか!

確かに最初は面白半分だったけど、今は違う。オレは代夏が好きだ。

でもここでそれを、麻斗に知られたくない。

こいつはきっとオレの気持ちを否定するに決まってる。

自分は悪いことをしていないと主張したいだけなんだ。

「じゃあ、今からあの女をふってくれば良いだろ」

こんなくだらないゲーム終わらせて、麻斗には悪いがオレは代夏と大手を振って付き合うんだ。

ガコンと何かが落ちた音がして、振り向いた。

そこには代夏が立ち尽くしていた。足元にはオレのために作ってくれた弁当が転がっていた。

「代夏・・・」

「あっ、あの・・・、私、そうたいすることになったから、お弁当・・・」

代夏の言葉が続いてこない。

「違う!違うんだよ。オレは」

君のことが本当に好きだと。

最初はそうじゃなかったけど、今は誰よりも君が好きで仕方ないと言いたかったのに」

「分かってる。私なんか本気で好きでなってくれるはずないよね。・・・でも、楽しかった・・・本当に恋人同士になったみたいで」

違う!オレは本当に君と恋人同士になっていた。

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