ゲーム
「ありがとう」

何で、何でそこでお礼が言えるの?

お礼なんかじゃない。オレとの会話を断ち切るための締めの言葉だ。

オレは慌てて代夏に近づこうとするが、足が動かない。オレ自身、この事態にショックを受けているのかもしれない。

代夏は後を向いて歩き始めた。

カバンを既に持っているから、このまま帰る気なんだ・・・

オレはいつものように代夏の背中を見送るだけになってしまった。




代夏の姿が見えなくなってから、オレは代夏が落として行った弁当が落ちてる場所に向かう。

拾い上げると、中身は出ていないが、崩れているに違いない。

あんだけの音がしたんだから。

「爽透」

「これで満足か?ゲームは終わりだ」

麻斗は何も行ってこない。

これで本当に終わった。

オレの恋も。本当に人を心から大切にしたいと思った子だったのに、

自分が蒔いた種とはいえ、キツイ。

天罰が落ちた。

オレは弁当を抱いて、教室に戻った。

カバンを持って教室を出ると、次の教科の教師がきていた。

「忍足くんどうしたの?顔色が悪いわよ」

「具合が悪くて・・・、すいません、担任の先生に伝えてもらえますか?早退しますって」

「分かったわ。気をつけて帰るのよ」

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