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代夏と姿は似ているが、中身はまるで違う。

「で、次は君の番な。どっちが告ったの?」

ついに来たか。まるで事情聴取を受ける気分だ。

「オレです」

「だろうね。代夏がするわけないもんな。ってか、最初は代夏のことそんなに好きじゃなかったろ?」

何故そこまでわかる?エスパーか?

「都合よくやりちらかして捨てるつもりだったろ?」

「失礼な!オレは代夏ちゃんが好きです。純粋に!何もかもが」

「冗談だよ。ハイって言ったらぶん殴ってる。君はさ、代夏を見つけたんだろ?」

代夏を見つけたという意味が分からなかったが、春季さんはすごく優しい顔をしていた。

「代夏はさ、学校でも出来るだけ一人でいろって言われてたからさ、メシとか一人で食ってたんじゃないか。誰もわからないようなところで。違う?」

そうだ。いつも一人でいた。気付くと教室にいなかった。代夏を見たのも、いつもなら気の回らない場所だった。

「代夏はかくれんぼの時、絶対に見つからなかった。見つからないままみんな帰っちまうこともよくあってさ。一人でいることを課せられた代夏にとっては、誰かに見つけてもらうことが嬉しかったはずだ。だから代夏も最初はたいして君のことが好きなわけじゃなくても、君が見つけてくれてたことだけで、代夏は嬉しかったはずだ」

ありがとうと春季さんはいうと、それから何も言わなくなった。

沈黙の中、オレは考える。

代夏にしてやれることを。
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