ゲーム
「代夏、オレは先生と話してくるから。帰って来る前に、振るなら振っておけよ」

じゃあ、後は若いお二人さんで、とお見合い仲介者のおばちゃんのような台詞を残して春季さんは出て行った。

「春樹さんに聞いたんだ。入院してるって」

「うん。明後日ね、手術するの頭の」

「そうなんだ。あのね、全部聞いたよ、代夏ちゃんのこと。・・・その髪も春季さんと同じにしたの?」

「うん。でもね、手術するときには全部剃っちゃうから調度良いよ」

口調はいつもと同じなのに、決してオレの目を見ようとしない。

「代夏ちゃん、オレは君に酷いことした。罰ゲームに君を利用してた、許されるはずはないと思ってる」

一つ一つ言葉を選んでオレは代夏に話をしていく。ここで間違えたら代夏の全てを失ってしまう気がして、慎重になる。

「知ってたよ」

予想外の言葉にオレは言葉に詰まる。

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