ゲーム
泣きながらいやだと繰り返す代夏の髪を撫でて落ちつかせようとする。

「代夏を一人で戦わせたりしない。二人で試練(ゲーム)を乗り切るんだ」

そしてオレ達は本当の恋人どうしになれるんだ。

「・・・うん」

ようやく代夏が笑ってくれた。

誓うようにもう一度オレ達はキスをした。




手術の当日、オレは学校にいた。

本当は側にいたかったが、代夏がそれを許さなかった。

「ちゃんと学校にいかなきゃだめ。私も頑張るから、爽透くんも勉強頑張って、そして休んでる間の授業教えてね」

「そっちが本命か」

「うん。私も頑張るから」

そう約束したんだ。

学校が終わったら真っ先に向かうことになっている。

「伊織の手術って今日だろ。良いのか?ここにきて」

麻斗にだけは全部、話した。今は純粋にオレたちを応援してくれている。

「約束したからな。頑張るって」

「またそれもベタな」

「ベタなのが良いの」

「で、何を作ってるのお前は?」

「帽子。髪の毛が早く伸びますようにって願いを込めて~」

流石の代夏も髪が短いうちは学校に出たくないと言っていたから。

代夏が好きな青と白で作った毛糸の帽子をつくって上げるんだ。

君の勝利を信じて。
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