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「ありがとう」

小さく、短く発せられる言葉は少ないけど、オレはこの子といると癒されてる。

お互い知ってることは殆どないのに、

オレは君といたいと思い始めてる。

「おいしい。こんなうまいメシ、食べるの久しぶりだよ」

「大袈裟だね。爽透くんのお母さんには敵わないよ」

「そんなことないよ。ここ数ヶ月って、親の料理まともに食って無いっていうか、顔もしっかり合わせた事ないし」

「そうなんだ」

「驚かないね」

「うん。うちも同じようなものだから」

「そうか」

そう言えば、同じ家族構成だったよな。

環境も同じとは思わなかった。

「だから、家に帰りたくないの」

「昨日はね」

「今日は、ちゃんと家に帰りなよ。危ないってマジで」

「うん」

どんな理由があったって、高校生の女の子が街を遅くまでうろついてたら危ない。

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