ゲーム
「家に帰りたくないなら、ちゃんと言ってくれよ。そしたらオレが傍にいてやるから」


自分でも驚くような言葉が出てきてしまった。

ドラマのような、ベタな学園ドラマの一コマのようだな。

ホラ、代夏だって引いてるよ。

固まってるよ。

頼む、何か言ってくれ

「うん。そうするね」

その後にまたありがとうと言って笑う。

「可愛い」

「えっ?」

君のその笑顔が好きだ。

中性的な顔立ちの君が笑うと、君は途端に女の子になる。

魅力的な女の子になる。

皆を一瞬で惹きつける。

「代夏ちゃん」

オレは気付いたら代夏の手を掴んで引き寄せていた。

顔が近くに迫る。

シャンプーだろうか?ほのかに甘い匂いがする。

リップクリームを薄く塗った唇は思った以上に柔らかかった。
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