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「本当に良いの?これ?」

映画館の席に座って映画が始まるのを待っている間、代夏は何度も聞いていた。

彼女の手には、小さな蝶がモチーフのネックレスがのっている。

たまたま目に入った雑貨屋で見つけたものだ。

代夏に似合うと思ったから、買ったそれだけなのに、代夏は恐縮しっぱなしだ。

「良いんだよ。きっと似合う」

「でも」

「気にしなくて良いから。値段もお手ごろだし、ね」

そう言って、代夏の手の上にあるネックレスを取ってつけてあげた。

「うん。やっぱりよく似合うよ」

「ありがとう」

どこか申し訳なさげにオレを言う代夏が愛しいと思えた。

「映画って、小学校以来かも」

「えっ?そうなの?」

「うん。諸事情で」

どんな事情なの?と聞こうと思ったら映画が始まってしまった。
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