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「ごめんね」

本当に申し訳ないという声に、オレは少し思案をめぐらせた。

「じゃあさ、明日も代夏ちゃんのお弁当が食べたいな」

「うん。また食べてくれる?」

「もちろん。約束」

小指を出して見ると代夏は躊躇うことなく、白くて細い指を絡めてくれた。

指きりなんて子どもの頃以来だ・・・。

こんなに神聖な気持ちになれるものだとは思わなかったな。

名残惜しかったが、指が離れていく。

「じゃあまたね」

「うん。また明日」

オレはここまで来ても、自分のしたことの重大さに気付いていなかったんだ。



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