バスボムに、愛を込めて


「初めまして、中丸と申します。本郷さんにはいつも美萌がお世話になっているみたいで……」

「ちょっと、保護者みたいな言い方しないでよ」

「ふうん、恩人に対してその態度か……」

「さっきのことは感謝してるってば!」


――って。ついつい孝二と話しているとムキになってしまうのはあたしの悪い癖だ。

大人しく口をつぐむと、今度は本郷さんが孝二に名刺を差し出していた。


「本郷です。羽石さんとは同じ開発チームで、こちらこそ彼女の発想にはいつも助けられてばかりです。ところで、彼女とはどういったご関係で……?」


やだやだ、本郷さんてば普段は言ってくれないのにそんなこと思ってたの?
こんなあたしでも少しはチームの役に立てているのかな……

一人照れて緩むあたしの口元は、次の孝二の言葉で瞬時に固まった。


「お互いに、相手を一番よく理解し合っている関係……とでも言えばいいでしょうか。平たく言えば幼なじみですが、家族同然なので美萌の家にもよくお邪魔してます」


……よくお邪魔してます? その言い方には語弊があるような。


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