バスボムに、愛を込めて
「なんで……いつもいつも俺を選んでくれないんだよ」
乱暴な言葉の割に、切ない声だった。
孝二の涙なんて見たことがないけど、もしかしたら泣いてるのかもしれないと思った。
「……わかんないよ、そんなの」
「むかつく」
「孝二……離して?」
空はもう暗いけど、頭上に浮かぶ街灯の明かりや、車道を通り過ぎてく車のランプが絶えず周囲を照らすこの辺りの夜は明るい。
会社の人が通って気づかれでもしたら、孝二だって困るはずだ。
「美萌……お願いがある」
あたしを抱き締めたままで、孝二が話す。
「何?」
「もう……こういう真似はしないって約束するから、友達の……幼なじみの縁は切らないで欲しい」
……幼なじみの、縁。
正直なところ、こんな風になってしまったあたしたちは、それすら断ち切った方がいいんじゃないかと思っていた。
中途半端な情は、余計に関係をぎこちなくさせるだけなんじゃないかって。
でも……