バスボムに、愛を込めて
「……沖縄、九州に続いて、羽石美萌、関東より一足早く梅雨入り宣言」
まんぷく亭のテレビに映し出された天気予報を真似てジメジメした発言をするのは、展示会の日から二週間が経った今日も食欲がなく、一番安いかけうどんを一本ずつ口に運ぶあたしだ。
仕事のときには神経を張りつめている代わりに、休憩のときと家に帰ってからは、カタツムリ……いや、あんな可愛い殻もないナメクジみたいな状態になってしまうあたし。
当然いつも休憩をともにする寧々さんとお嬢は、展示会の日に何かあったのだと簡単に予想がついたみたいだ。
「何があったのかいい加減話しなさいよ。こっちまでジメジメしてくるわ」
定食についてきたきゅうりの糠漬けを、苛立ち気味にばりばり噛みながら寧々さんが言う。
「やっぱり、原因って本郷さんですよね……? 美萌さん、あたしじゃ何も役に立てないかもしれないけど、話せば楽になるってこともありますし……」
今や寧々さんの大食いっぷりも見慣れてきたお嬢は、食べきれなかった生姜焼きを寧々さんのお皿に移しながらあたしを心配してくれる。
「お二人とも、ありがとうございます……でも……」