バスボムに、愛を込めて


羽石は、俺に向けるのとはまた違う……リラックスしたような表情で奴と接していた。

中丸の方はと言えば、誰が見たって羽石に気があるのは明らかな態度。

羽石が何か言うと、いちいち照れくさそうにする仕草を見ていたら、俺の身体は二人の方へ勝手に動いていた。

しかし……近づいてみて余計に二人の親密さを見せつけられることになる。

“美萌”、“孝二”と下の名前で呼び合い、奴が羽石の家にも上がり込むような関係だと聞かされたら、俺の中にむくむくと苛立ちがこみ上げてきて。

今までの羽石をちゃんと見ていたら、そんな発想になるわけないのに。……と、冷静になった今なら思えるのだが。

“誰にでも尻尾を振るような女はお断りだ”

その時の俺は、そんな感情に胸が押しつぶされそうになっていて。


「――触るな、不潔女」


二人の間に溝を作る決定的な一言を、自ら言ってしまったのだった。


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