バスボムに、愛を込めて


「大葉と梅ササミフライひとつと、アジフライと、あとチーズインロースカツ! 全部キャベツ大盛りね? 以上です」


以上です……っていうか寧々さん! その注文、異常です!

信じられないって表情をするあたしに気付いたのか、店員さんが去ると寧々さんがクスッと笑う。


「……びっくりした?」

「はい……ひとりであれを全部食べるつもりですか?」

「もちろんよ。このお店、白いご飯もお代わり自由ですっごく助かるのよね」


えええ!? あんなに揚げ物頼んでおいて、ご飯もお代わりする気ですか!?

いったい寧々さんの華奢な体のどこにそのカロリーは蓄積されているの?

思わずテーブルの下に隠れた彼女の細くて長い脚まで覗く変態なあたし。


「どうも他人より大食いらしいのよね、私。食べた分太っちゃう体質ではないのはありがたいんだけど、普通の量じゃ満足できなくて、いつも欲求不満なの」

「へええ……そうなんですか」


太らない体質って羨ましいなぁ……

あたしは顔にお肉が付きやすくて、ときどき半身浴とかしてみてるけど、効果は薄いんだよね。

――あ、そういうダイエット効果のあるバスボムはどうだろう。トウガラシ成分とか、発汗作用のあるものを入れて……

うん、ありがちかもしれないけど一応メモっておこう。

あたしは早速バッグから手帳を取り出す。


< 16 / 212 >

この作品をシェア

pagetop