バスボムに、愛を込めて
「――ただいま。ああ、いい汗かいたわー」
ほどなくして帰ってきた寧々さんは、その顔にやりきった感がみなぎっていた。
何をしたかは怖くて聞かなかったけど(いい汗かいたって何?)、「もう大丈夫。美萌ちゃんには二度とちょっかい出さないと思うわ」と言ってくれたから、あたしはそれを信じて今日のことはキレイさっぱり忘れることにしたんだ。
だって、考えることはまだたくさんある。
まだ完璧とは言えないあたしたちのバスボムをもっといいものにして、試作品として形にしなきゃいけないし、製品にしてもらえるかどうかの会議に出す準備もある。
本当の梅雨ももうすぐ明けるし、本郷さんのキスで心はパッと雲が晴れ、ナメクジ美萌からの脱却に成功。
あたしは恋も仕事もバリバリ頑張る、暑苦しい夏女を目指して心を入れ替えようと決意したのだった。