バスボムに、愛を込めて


七月に入り梅雨が明けると、本格的に暑い夏がやってきた。

月半ばの会議でどんな風にバスボムをプレゼンするかを毎日のように皆で話し合い、忙しさもMAXの大切な時期。

なのに……こんな時に実験室の冷房が壊れるなんて!


「ああ、暑い……」


あたしはボールペンを投げ出して、実験台に突っ伏した。


「……ごめんね。業者もこの時期忙しいみたいで、早くても来週にならないと直しに来れないらしいんだ」


どこかで貰ったらしいビールメーカーのうちわで、パタパタと自分を扇ぎながら川端さんが謝る。


「いえ、川端さんが謝ることじゃないですよ……」


しかしこの暑さでは、仕事に影響が出ちゃう。
脳みそが溶けて何も考えられない……


「差し入れでーす!」


そんな中、熱中症になったら困るからと買い出しに出ていた寧々さんとお嬢が戻ってきた。

二人が手分けして持つコンビニ袋から透けて見えるのは、飲み物やアイス。

本来この実験室では飲食禁止なんだけど、今回は緊急事態ということで、川端さんが許可してくれたのだ。
ああ、天の助け……


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