バスボムに、愛を込めて


「……仕事中に何を聞きに来たかと思えば」


医務室のベッドの上で、おでこに手を当て呆れた顔をする本郷さん。


「すいません……」


ああでもよかった、さっきより顔色がよくなってる。

暑いからか布団は掛けてなくて、白衣を脱ぎネクタイも外した状態の本郷さんは、はっきり言ってめちゃくちゃセクシー。

本来の目的、“彼が心配で様子を見に来た”というのが半分頭から抜けかかり、開いた胸元ばっかりに目がいく。


「まぁでも、はっきり言ってない俺が悪い……か」


ぎし、とベットを鳴らして上半身を起こした本郷さん。
ベッドのすぐ脇で丸椅子に腰かけるあたしと、目の高さが同じになる。

吸い込まれそうな黒い瞳。それを縁取るブラウンのメタルフレームを細長い指がクイ、と上げ、その一連の動作に相変わらず惚れ惚れしていると、彼が口を開く。


「……その答え。もう少し保留でもいいか?」

「え?」


保留って……?


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