バスボムに、愛を込めて


家の中に入って、無言で階段を上がっていってしまう本郷さんの背中はすごく刺々しいオーラを纏っていて、その理由がハッキリとわからないあたしは、ただ戸惑うばかりだ。

二階にいくつかある扉のうちのひとつに手を掛けた彼に続いて中に入ると、そこは六畳ほどの広さの部屋。

あるのはベッドと机と本棚……本郷さんが昔使っていたものなのかな、と思いながら部屋を見渡していると、振り返った彼がいきなりあたしを抱き締め、深い深いため息をついた。


「…………ごめん」


本郷さんらしくない、弱々しい声。

一体どうしちゃったの……?
やっぱり、リョータさんと会いたくなかったから……?


「俺、全然成長してないみたいだ……高校生の時からずっと」

「高校生……?」


本郷さんはその質問には答えず、しばらく無言だったけれど、やがて身体を離すとベッドに腰掛け、その隣のスペースをポンポンと手で叩いて、あたしを呼んだ。


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