バスボムに、愛を込めて


「……お願いしても、いいですか?」

「もちろん! 素材がいいからこっちも腕が鳴るわ。きっと瑛太に押し倒される日ももうすぐよ」


そう言ってウインクしてくれたリョータさん。

とっても明るくて優しい彼を、あたしは既に大好きになっていた。

だからこそ、本郷さんの中でまだわだかまりがなくならないのが悲しい。

あたしに何かできることはないのかな。役立たずだって落ち込む前に、もっともっと彼の気持ちに寄り添ってあげなくちゃ。

リョータさんの言うように、あたしはあたしらしく。いつでも前を向いて――――

それから、柔らかなブラシがまぶたを撫でる感触や、唇に細い筆が走るくすぐったさを感じながら、あたしは鏡の中の自分が変わっていくのをじっと見ていた。


「――ほら、美人さんができたわよ」


その言葉を合図に、あたしは改めて鏡の中の自分を眺める。

……ネイビーのアイライナーなんて、初めて使った。こんなに発色のいい赤を、唇に乗せるのだって、いつものあたしなら絶対にできない。

だけど、全然変じゃない。

それどころか、自分でも見惚れてしまうくらいのセクシーさが、肌や唇のツヤ感からにじみ出てる。


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