バスボムに、愛を込めて


本郷さんのカツ丼が運ばれてくるまでの間、あたしは二人にアンケートを見てもらっていた。


「ふーん、悪くない」

「悪くないどころかいいわよ。このテンプレート、チームが解散する時にもらっていってもいい?」

「ももも、もちろんです!」


よかったぁ。また“口だけの奴”とか思われるのがなにげに怖かったんだよね。

先輩二人をクリアしたってことは、あとは午後川端さんに見てもらえばいいだけだ。

ただ、あたしは目の前の二人を見て、なにか腑に落ちないものを感じていた。

距離が……ちょっと近すぎやしませんか、先輩方。

一枚の紙をふたりで覗いているから仕方ないのかもしれないけど、それにしてもあと五センチ近かったらキスできちゃうよ?

あたしが寧々さんなら、きっと暴走しちゃう。


「どうしたの? 羽石さん」


あまりに二人を凝視しすぎたらしく、寧々さんが不思議そうにあたしを見る。


「いえ、あの……おふたり、仲が良さそうだなぁって」


もしふたりがカップルだとしても誰も文句を言えないくらいにお似合いで、ちょっと嫉妬しちゃうくらい。


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