バスボムに、愛を込めて
出店の並んだ通りに着くと、俺たちはじゃがバタをはじめ食糧を適当に揃え、座れそうな場所はないかと神社の石段を上がっていった。
俺たちと同じようなことを思って、その石段の途中に落ち着き座って食事をするカップルがちらほらいて、その人々を避けながら、もっと上を目指していた時だった。
「あれ? 本郷くん?」
よく知る人物の声が、石段の上の方から聞こえてきた。
声の聞こえた方向を、暗闇の中で目を凝らしてみると、そこには予想していた通りの人物と、もう一人……
「なんでお前らが一緒にいるんだ……?」
「あ、寧々さん、こんばんはー。……と。その、お連れの方も……って」
俺の後ろから顔を出した美萌が、口を開けたままで固まる。
石段の途中に座り、何パックあるのかわからないくらい積み上げられた焼きそばやらたこ焼きやらを隣に置くのは、黒地にあやめの花が描かれた浴衣の良く似合う、葛西だ。
……問題は、食べ物の隣で気まずそうに顔を伏せる体のでかい男……