バスボムに、愛を込めて
そしてお互いの着ていたものの最後の一枚がぱさりと床に落ちると、瑛太さんにそっと身体を押されてあたしたちはベッドに倒れ込んだ。
「ん、ふぅ――――っ」
あたしの上に覆い被さった彼から、キスの嵐が降ってくる。
唇に、頬に、まぶたに。そして耳から首筋の辺りを舌でなぞられると、思わずびくりと身体が震えた。
「瑛太さん……」
何も身に着けずに汗ばんだ素肌同士をくっつけるなんて、すごく恥ずかしいこと。
だけど、瑛太さんに触れらていくうちにそんな思いを挟む余地なんてなくなって、あたしは自分でも聞いたことのない甘い声を上げて、彼の背中にしがみつく。
やがてあたしの中に入ってきた瑛太さんは、大切なものを扱うようにゆっくりゆっくり様子を見ながらあたしを満たしていった。
「好きだ……美萌……」
そんな中で呼ばれる自分の名前は、聞いたことないくらいの甘い台詞に聞こえた。
瑛太さんの気持ちと、欲望が詰まった、この世で一番素敵な愛の言葉。
「あたし、も……っ」
あたしたちが抱き合えば抱き合うほど部屋の温度と湿度がどんどん上がっていったけれど、高まるのは不快指数なんかじゃなく、彼が愛しいって思う強い気持ちだけ。
「初めてが瑛太さんで、よかった……」
涙目で微笑んで見せると、彼はそれにこたえる代わりに、あたしの奥深くまで熱を届けてくれた。
今、あたしたちが抱き合うベッドの上は、きっと世界のどこよりも暑い。
そんな馬鹿なことが思えてしまうほどに、あたしは瑛太さんとひとつになれたことが嬉しくて、その後も一晩中ずっと、彼と裸のまま抱き合っていた。