バスボムに、愛を込めて
25.バスボムに、愛をこめて
「――それじゃあ、無事に十種類のバスボムが完成したことを祝して、乾杯!」
「かんぱーい!」
八月に入ると二度目の企画会議が行われ、指摘されていた部分に修正を加えて作り直した新たなバスボムは、無事に商品化を目指す運びとなった。
今夜はチームの皆で、以前懇親会を行ったのと同じ居酒屋さんに集まり、祝杯をあげているところ。
「いやぁ、またダメって言われるんじゃないかとひやひやしたよ」
ひとくちビールを飲んだ川端さんが、キツネ目をさらに細くして、そう話す。
「そうですか? 私はチームの自信作である“コレ”があるから大丈夫だと思ってましたけど」
寧々さんが自分のバッグを漁り、試供品としてすでに完成しているピンクのバスボムを取り出した。
「それ、すっごい可愛いし、何より美萌さんっぽいですよね」
カクテルに口を付けていたお嬢が、そう言ってあたしに微笑みかける。
そう、寧々さんが“チームの自信作”と言ってくれたそのバスボムは、何を隠そうあたしが中心となって生み出したもの。
最初の頃は“美容・健康系”とうたうものを担当していたあたしだけど、それだけじゃちょっとインパクトがない?という問題にぶち当たり、あたしなりに女子心をつかめそうな工夫をしてみたら、チームの皆が大絶賛してくれたんだ。