バスボムに、愛を込めて
「……だな。いかにも頭の中九割が恋愛のことを占めてるコイツらしい」
隣の席で、ぼそっと呟いたのは、チームの仲間であり先輩であり、そしてあたしの彼氏でもある、イケメン眼鏡王子、本郷瑛太さん。
それって、褒めてるの? けなしてるの?
……なんて迷った時には、あたしはポジティブな方に解釈することにしている。
だって、その方が幸せだもん。褒められると伸びるタイプなんだ、あたし。
勝手に上機嫌になったあたしは、普段は飲むことのないワインをごくっと一気飲みする。
「……美萌ちゃん、そんな飲み方して平気なの?」
「こないだ、ビール二杯でつぶれてませんでしたっけ……?」
……ええ? 寧々さんもお嬢も、ちょっと心配しすぎですって。
そう言おうとするのに、なんだか舌が回らない。
その代わり、なんでかくるくる景色が回っているような。
「……美萌、ほどほどにしとけ」
「えーたさん……早く二人きりになりたいよー」
なんの脈絡もなくそんなことを言いすあたしにげほっ!と激しくせき込んだ瑛太さん。
確かに今のあたしは酔っぱらってはいるけど、本当のことだもん。
今日まで、仕事が忙しくてなかなか二人で会う時間がとれなかったから、寂しかった。
もうそろそろ瑛太さん不足です、あたし。
「……コイツ、やばそうだから送ってくる」
そう言って席を立った瑛太さんに手を引かれ、あたしは残されたメンバーににこにこと手を振る。
「あたしたち、これからいちゃいちゃするんで、お先に失礼しますー」
「……黙って歩け」
「もう、瑛太さんたら照れちゃってー」