バスボムに、愛を込めて


……これ以上彼女を刺激するのはマズイ! そう判断したあたしは、小森お嬢の腕を無理矢理引っ張ってこの場をとりあえず去ることに決めた。


「ちょ、ちょっと何するんですか!」


寧々さんの視線は痛いし本郷さんはこっちを見てすらいないけど、川端さんからは“グッジョブ”と聞こえてきそうな優しい眼差しで見送られた。


「いいから来て! 寧々さんって何かの格闘技やってるらしいの。しかもお昼三〜四人前食べてたから、殴られたらただじゃ済まないよ?」


なんて、勝手に暴力的な人に仕立てあげてごめんなさい寧々さーん!


「げ……」


しかしそれが功を奏したのかお嬢はそれきり黙り込み、あたしが引っ張らなくても自分の足でついてきてくれるようになった。


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