バスボムに、愛を込めて
――居酒屋にて。
『本郷さ~ん、あたし、酔っちゃったみたいですぅ』
あたしたちは何故か、うまいこと隣の席。
そして彼の肩にしなだれかかって、上目遣いをつくってみせる。
『仕方のない奴だな……送ってってやる。家はどこだ?』
言葉は冷たくても、本郷さんは優しいの。
『本郷さんのおうちに帰りたいなー』
『馬鹿。……じゃあ、こっそり抜け出すぞ?』
耳元でささやかれて、あたしはうなずくんだ。
そして二人は肩を寄せ合い、夜の街に消えていき……
***
「……羽石。そのマスクからはみ出てるのはまさかヨダレじゃないだろうな」
やーだぁ。だって本郷さんがあまりに積極的なんだもん……
「聞いてるのか?」
「ふぇ?」
ぱちん、とふわふわした妄想が泡のように弾け、気が付けば正面から本郷さんの冷ややかな視線。