バスボムに、愛を込めて
「どーせまたお前なんか相手にしてくれなそうな、高級物件に手ぇ出そうとしてんだろ。相変わらず懲りねーな」
完全にあたしを馬鹿にした感じの言い方。
でも、今までのあたしの恋愛遍歴を知ってて言っているのだとわかるから、あたしは頬を膨らませるくらいしか対抗の術がなかった。
……そうなんだよね、悔しいけど孝二の言う通り。あたしはどうも、身の程というものをわかってないらしいのだ。
ものすごーく格好いい人を好きになっては、周囲に“絶対望みないからやめときな!”と忠告される。
でも、その人に向かう気持ちを止めることなんてできなくて、真正面から告白した結果、高校〜大学の七年間で撃沈すること八回。
よく考えたら一年にひとり以上の確率でフラレてるのか……うう、切ない。
「いい加減気づけよ。お手頃物件が近くにあること」
「それ、誰のこと?」
「俺」
あー、だめだ。孝二、酔ってる。冗談が全然面白くないんですけど。