バスボムに、愛を込めて
「み、見つけた! 本郷さん!」
「……できれば見つかりたくなかった」
ベンチの後ろ側に立っていた彼は、そう言いながらあたしの正面に回る。
隣に座るかな、と思って腰を少し横にずらすと、「俺は座らない」と冷めた声で言われた。
「……で。何の用だ。あんな堂々と人の名前を呼んでおいて、大した用じゃなかったら殺す」
「こ……ころ……っ!」
「冗談だ」
「わ……わかりにくいですよ。普段からあたしに冷たいから本気かと……」
まあ、本郷さんに殺されるのなら本望だけど。なんて本音は心の内で呟くだけにしておく。
だけど用っていうほどの用はないんだよね。
ただ、追いかけろって言われて、自分も本郷さんを怒らせちゃったことが気になったから、無我夢中で走って来ただけで……
でも……とりあえず、一番はこれかな。
「あの、ごめんなさい……」
「何が」
「寧々さんとのこと、詮索しようとして……」