バスボムに、愛を込めて
9.好きが止まらない
“諦めませんから”なんて宣言したものの、飲み会もあんな風に終わってしまい、本郷さんとは仕事以外の接点がなくなってしまった。
少し心配していた彼と寧々さんとの仲は意外にも大丈夫で、仕事中もそれ意外も普通に会話している。
二人はほんの三年先輩なだけだけど、そこはさすが大人だなぁなんて思ったりした。
恋愛面では何も進展のない毎日だったけど、仕事は順調に進んでいて、四月の下旬には前にあたしが作ったアンケートの結果が返ってきた。
「……残り湯洗濯かぁ。盲点だったわ。確かに私たちに主婦目線は欠けてるものね」
パラパラと、アンケートを捲りながら言うのは寧々さんだ。あたしもその声に頷く。
「ターゲットは20〜30代女性ですから、主婦の目線を無視はできませんよね」
“どんなバスボムを使ってみたいですか?”
という問いには色々な回答があったけれど、意外に数が集まったのが、
“使用後、残り湯を洗濯に使えるもの”――という答え。
開発するもの全部をそうするわけにはいかないけれど、検討した方がよさそうだ。
今日は皆それぞれ割り当てられた分のアンケートを集計していて、実験室にはカチカチとパソコンを打つ音が響いていた。