バスボムに、愛を込めて
そんな中、本社に用事があるとかで外出していた川端さんが帰ってきたので、皆手を休めて彼の定位置、ホワイトボードの前に注目した。
川端さんは上着を脱ぎ、白衣を羽織ると私たちに向き直った。
「アンケートの結果はどう?」
そう聞かれて、代表で本郷さんが答える。
「原案で問題なさそうです。色々要望は出てきてますが、細かい部分の調整でなんとかなるかと」
「そうか。よかった。それじゃあの三パターンから十種類のバスボムを作るということで決定しよう。それと、別件なんだけど……」
ビジネスバッグの中から、何かの資料を取り出した川端さん。
「来月の下旬に、有明で化粧品の大きな展示会があるんだ。残念ながらうちのバスボムは間に合わないけど、他の部門はいくつかブースを設けて出展することになってる。それで……」
その展示会なら毎年開催されているから私も知ってる。
百貨店、デパート、ドラッグストア、エステやヘアサロンからたくさんのバイヤーが集まるから、うまくアピールできればその分たくさんの仕入れに繋がるのだ。