バスボムに、愛を込めて
――困ったときは同性に相談するに限る。
あたしはお昼休み、お嬢と寧々さんをステーキハウスでのランチに誘った。
サラダとスープとライスとカレーはおかわり自由のお店だから、寧々さんの胃袋でも満足してくれるはずだと踏んで。
「あら、“連休中にどっか行きましょう”って誘えばいいじゃない。彼女がいないのは確実なんだから、一日くらいヒマな日あるわよ」
200グラムのサーロインを見て隣でぎょっとしているお嬢に構わず、寧々さんがあたしの顔をフォークで指しながら言う。
ちなみにお嬢は一番高価なヒレステーキ。子どもっぽい味覚のあたしはチーズインハンバーグを頼んだ。
「……そうでしょうか。実家に帰ったりは?」
「確か彼の実家は横浜よ。だからそんなに慌てて帰らないんじゃない?」
「でも……断られる確率120%だと思うんですよね。今のままでは」
いきなりデートになんて誘ったら、“お前と二人で出掛けてなんのメリットがある”とか言われそう。
あたしは溶けたチーズをびよーんと伸ばしながら一口大のお肉を口に入れた。
本郷さんが見たら絶対怒りそうな食べ方。
でも、超絶美味しいんだなこれが。