バスボムに、愛を込めて
「あたし、閉め忘れた……?」
そっとドアノブに手を掛けると、案の定、開いてる。
自分の過失か、それとも不審な侵入者がいるのか――
「ドロボーさん、いたら何も盗らずに窓から逃げてくださいね……」
中にいるかもしれない人物を牽制しながらおそるおそる中に入ると。
「……お前なぁ、泥棒とは失礼だぞ」
廊下には腕を組んで呆れたようにあたしを見る、幼なじみの孝二が立っていた。
「こ、孝二! びっくりさせないでよ!」
「鍵開いてたから留守番してやってたんだろ? 不用心だぞお前」
あ……やっぱりあたしの閉め忘れだったんだ。でも、そんな偉そうな態度の孝二にお礼を言うのはなんだか癪だ。
あたしは無言で靴を脱ぎ、廊下に上がる。
「だいたいさ、なんでいつもアポなしで来るわけ?」