かわいい年下くん
「えと…道に迷ったんじゃ…?」
そう控えめに尋ねると。
エンジェルは「はあ…」と盛大なため息をつきながら、その場にしゃがみこんだ。
「え、エンジェル…!?」
そう呼んだときには、時すでに遅し。少し顔を赤らめたエンジェルに睨まれていた。
「…エンジェルってなんですか」
しゃがんでるせいで、下から見上げる形でこちらを向く彼は、必然的に上目遣いになるわけで。
もはやかわいい、という形容を越えている。
「キレイな顔してるからつい…」
「俺の名前はエンジェルじゃない」
なんて口を少し尖らせながら言うもんだから、キュンキュン必至だ。
「…じゃあ、春くん?」
内心悶えてるのに、平静を装ってそう言うわたし。
恐るべし美形パワー。
それを聞いてとりあえず納得したのか、エンジェル…じゃなくて春くんは、
「…てか、校内で迷子とか、あるわけないでしょ」
なんて半ば呆れたようにそう言うと、膝に手を当てて立ち上がった。