陽染
僕達に対しての配慮なんてこれっぽっちもありゃしないんだ。
まあ、あってもらっても困るんだけどね。
僕の先を歩いていたアヌラが、人を見つけたのか足早に進み始めた。
「あの…、シマキ知ってる?」
「シマキ?…確か、この先の所で座ってたけれど…」
「けれど?」
アヌラが聞き返す。
僕の中にも?が浮かんだ。
出会った痩せ細った女の人は、唇に手を当てて言った。
「ゴンドリが話しかけてたの。もしかしたら、移動したかもしれない」
「ありがとう」