陽染
前ぶれとか予感とかなくね…。
彼らは泣くことも出来ないうちに行ってしまった。
思い出さないようにしていた弟が、脳裏に浮かんで、目頭が熱くなった。
見られないように俯いて歩いていると、いつに間にか先に歩いていたアヌラの背中にぶつかった。
「ごめん」
謝りながら脇に寄ると、すぐそこにシマキとゴンドリが居た。
シマキは横たわり、ゴンドリが正座して座っている。
胸が騒いだ。
熱かった目頭のことも忘れ、二人に駆け寄った。
「シマキ!!ゴンドリ!!」