陽染
声を出しながら近寄ったのはアヌラだ。
「おお、ガキか…」
酷く弱々しく、シマキが呟いたようだった。
詳しくは聞き取れないんだ。
小さいし、擦れてて聞きずらい。
それでも耳を近づけて、シマキの声に意識を向けた。
「ガキか…、ガキか…」
何度も繰り返す言葉に、アヌルが叫び返す。
「アヌルだ!!コルリアだ!!」
張り裂けそうな痛みを抱えた言葉の後、シマキは唇をパクパクさせるだけで、声は出なかった。
顔を上げて、シマキの痩せた顔を見つめた。
骨に皮を着けただけのような薄い顔だった。