陽染
大抵の人はいつもの位置にいることが多いんだけれど、僕達二人が動いてしまうから、見つけるとなると大変なんだ。
ゴンドリの言葉を借りるなら、大きな箱に蟻を入れてるみたいな感じ。
目印がないんだ。
建設とか出来ないから…
「…付き合ってやるよ」
「ありがとう」
立ち上がって周りを見回すけれど、あいにく人の気配は無かった。
毎日この中の誰かが上世界に上がっていくから、いる人の名前は皆知っている。
「誰誰を見なかった?」とか「誰誰の居場所分かる?」とかって聞けば返ってくるから、「誰だか分からないわ~」なんて返す人はいない。