陽染

大抵の人はいつもの位置にいることが多いんだけれど、僕達二人が動いてしまうから、見つけるとなると大変なんだ。

ゴンドリの言葉を借りるなら、大きな箱に蟻を入れてるみたいな感じ。

目印がないんだ。

建設とか出来ないから…

「…付き合ってやるよ」

「ありがとう」

立ち上がって周りを見回すけれど、あいにく人の気配は無かった。

毎日この中の誰かが上世界に上がっていくから、いる人の名前は皆知っている。

「誰誰を見なかった?」とか「誰誰の居場所分かる?」とかって聞けば返ってくるから、「誰だか分からないわ~」なんて返す人はいない。

< 8 / 23 >

この作品をシェア

pagetop