…………すき。
イケメン、拾いました。
月曜日。
私は歩いて学校に向かっていた。
あー、今日からまた1週間学校だよぉ…。
さらちゃんに会えるのはうれしいけど。
さらちゃんは、私の親友。
毒舌なんだけど、本当はすごく優しいの!
ラブラブ?な彼氏がいて、他校の男子なんだけど、
大切にされてるなーって思う。
……はぁ。
私も恋したいな。
でも、高校に入ってからクラスの男子とも、まともに話したことないやー。
そこらへんにイケメン落ちてないかな!笑
イケメンを呼ぶ呪文とか、あったらいいのにー。
適当に歌ってみれば落ちてきたりして。
よし!
「イケメン♪イケメン♪イッケイッケイケメン♪イケメン落ちてこーい♪イケメ………んぬ?!」
え?!ぅを?!?!
人が……倒れてるよ!
どどど、どうしたの?!
しょ、消防車呼んだ方がいいのかな!
いや!違うよ!!!!
火出てないし!
お、落ち着け、私!
男子っぽいなー、
え、もしかして本当にイケメン落ちてきた?!
「失礼しまーす!ヨッコイショ
………きゃ♪イケメンだぁぁあああ!!」
これは、声をかけてみるしかないよね、
「あの~、死んでるんですか??」
おそるおそる、その男に声をかけてみた。
『ぁあ?!勝手にころすんじゃねーよ。ちょっと寝転がってただけだよ!』
……と、くりっとした目でにらんで言ってきた男。
「寝転がってた?道路で??」
なんで??と、聞いてみた。
『ほ、本当だからな!俺は!寝転がってたんだ!すべって転んだとか。ちがうもんね!』
プッ。
転んだんだね。笑笑
『わ、笑うなよぉぉおっ、グスッ』
え、グスッって!!え、泣きそう?
わーぁ♪涙目かわいぃ♪
あれ、その制服……
「まさか、南高校じゃないよね?」
こんなイケメンみたことないし。
『南高校だよっ!悪いかよ!!』
………なんでそんなに喧嘩腰なんだろう。
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やっと学校に着いた私と男。
色々聞きたいことがあったのに、
何やら横でずっと叫んだりわめいたり、
男がうるさくて、何も聞けなかった…。
でも、あの涙目は最高だった。
え?私変態じゃないよ!
あ!さらちゃん発見!!
靴箱で大好きなさらちゃんを見つけたので、声をかける。
「さーらちゃーんっ!おはよっ♪」
『おはよう。………朝からうるさいのね…ったく。』
う……毒舌…。
いや、今日はマシなほうだよね!
だって、舌打ちすることも、あるもん!!
もう慣れたから、動じないけどね!………たぶん。
そんなことを考えて歩いていたら、教室に着いた。
なぜか、さっき拾った男も着いてきてる。
あ。さらちゃんに説明しないと!
「さらちゃん、聞いてー!私ね、涙目のイケメン拾ったのー!!!」
『拾ったって、なんだよっ!!』
男が叫んだ。
『…うるさい。美優、詳しく説明して。』
さらちゃん、クールすぎる!
私が詳しく説明すると、
『はぁ。で、これを拾ったわけだ…。ってか、美優、なんでそんなにニヤついてるのよ。』
さらちゃん、このニヤニヤは、誰にも止められないの。(どや顔)
『おい!!これってなんだよっ!お、俺は物じゃないのにっ!!ふぇ………ぅ。』
泣くの、がまんしてる!
やっばい!!!
ーーーガラッ
「あ、先生きた!」
『あんた、うちのクラスなの?』
さらちゃんが男に聞いたその時、
『お。やっと来たな!中野!!』
???なかの??
誰のこと…………あ。
涙目のイケメンのこと?
「中野くん?」
男に聞いてみると、
『そうだよ!き、気安く呼んでんじゃねーよっ!』
なんて、なぜかビクビクしながら言ってくる男。
思わずニヤニヤしてしまう私。
『ほら、そこの二人!じゃれあってないで、SHR 始めるぞ!中野、紹介するから前に来なさい。』
先生がちょっと笑いながら言った。
中野くんが前に行くと、
『今まで入院してて休んでた、中野優斗くんだ。みんな、仲良くな!ほら、中野、一言あいさつして。』
『……はい。えっと…な、中野優斗です!よろしく、おねがいしましゅっ!!……あ。』
おねがいしましゅ?!しゅ?!
なにこのかわいい生き物!!!!!!
しかも、赤くなって照れてるし!!
また泣きそうだし!!!
ぎゅってしてあげたい……。
私が一人でもだえていると、後ろの方から感じる視線。
ん?誰かな。
後ろを向いてみると、さらちゃんが見ていた。
『……………ちっ。』
あ!さらちゃん舌打ちした!!
ごめんなさいね!このニヤニヤは、誰にも止められないの!(2回目)
このニヤニヤは!誰にも!!止められないの!!!(3回目)
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キーンコーンカーンコーンーーーー
さらちゃんは今日彼氏とデートみたいなので、
私はゆうちゃんと一緒に帰ることにして、
放課後、誰もいなくなった教室で帰る準備をしていた。
「はぁ!やーっと放課後だね♪ゆうちゃん!」
優斗くんだから、ゆうちゃんって呼ぶことにしたの。
『ゆ、ゆうちゃん………?!おまえ!なに言ってんだよ!!びゃーか!!!』
「びゃーか!って?ニヤニヤ」
『か、噛んだんだよっ!ふぇ……っぅ』
「お、お?ニヤニヤ泣くの?泣いちゃうの??」
「ニヤニヤするんじゃねーよっ!ぅ……っ…ふぇぇぇえええんっ!!」
ほとんど人のいない学校にゆうちゃんの叫び声と泣き声が響いた……。