…………すき。

無口な人



金曜日。


昨日、宿題を持って帰るのを忘れていた私は、

朝早くから学校に来ていた。



「さすがに、この時間にはまだ誰もいないだろうなー。」

独り言を言って、私は気づいた!


これって、一人だからなんでもできるじゃん?!


一番乗りとか、もう一生ないかもよね!!



誰もいない学校……教室で私がやってみたいこと。


思う存分叫んでみたいッ!!!

そう思った私は、教室の扉をガラッと開けて…。



「一番乗りひゃっほぉぉぉぉおおおおおおっ!!!」


地球の反対側まで届くくらいの大きさで叫んだ!


「はぁはぁ。 もう、思い残すことはないっ!いやぁ叫ぶって気持ちいいね……………………………はっ!」



『…………………………………。』



「…………………………………。」




完全フリーズ状態。


人が、いた……。


眠そうなトロンとした目で見つめてくる男。


な、何か言い訳しないと!!

「あ、あのっ!」

『……………………………………今日も………元気……………だね。』


ゆーっくりボソッと男が言った。


そのまま目を閉じて、その男はうたた寝をし始める。


「…………………………………。」



びっくりしすぎて目が点になった私の目の前で、

男のやわらかそうな、ふわふわした髪の毛が冬の朝の風で揺れた…。

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