君と私と愛と
五年前
五年前....私達は、中学2年生

パコーンパコーン

黄色いゴム玉が、コートを行ったり来たり。
それを、私はただただ見つめる。君は、男子テニス部。
時期キャプテンって言われてるほど、君は強いの。
君が打った球は、カーブして、地面の上を跳ね返る。
それについていけない3年生は、君の打ったボールを打ち返せずに、舌打ちをする。


「たーっくん。まだー???」


君の名前は、川崎 拓斗(カワサキ タクト)。私は、たっくんって呼んでる。君と私は、お家が隣。君と私が、10の時に私が君の隣へ引っ越して来た。幼馴染みには、まだなれてないんだろうけど、家が隣だったから毎日一緒。
こうして、一緒に帰るのも、何回目だろう。


「ちょっ。ちょっとは待っとけよ‼帰宅部あーゆか」


たっくんに、私はあゆかって呼ばれてる。私の名前は、中野 愛結花。お父さんとお母さんが、愛をもらって花みたいに育ちなさい。皆を結ぶ愛花になりなさいって意味で付けられた大切な名前。


私は、子供だったから、たっくんに、まだかまだかと言ってたっくんを急かした。すると、たっくんは私のとこまで走って来て。汗だくで、肌が黒くて、細くってちっちゃいくせに、ニカッと笑って。私の頭をぽんぽんして、私をいちいちどきどきさせる。


「頭撫でんな‼ちびたっくん」

「はぁ??うっせーなー。うしっ、帰ろっ」


そう言いながら、私の前を歩いていく。ちっちゃくて、肌黒くて、細くって、髪の毛ふっさふさのくせに、かっこよくって女の子にしょっちゅう告白されてるたっくん。
今日もまた、ほら。


「なー、あゆかー。俺なー、二組の奈々ちゃんに告られたー。」

「....ふーん。で???」

「俺には、好きな人がいますって、断った」

「そーなんだー。で??好きな人って???」


君が、私を見るからどきっとした。
もしかして、私なんじゃないんかな???そう思った、思っただけで実際は、違ってた。


「安西さん....好きなんだ....ほら、可愛いだろ??安西さん」


私も、君に可愛いって言ってもらいたい。
私も、君が可愛いって言いたい。
私も、君が好きって言いたい。


「ゆかり、たっくんの事好きって言ってたよ??」

「ぬおっまじ???」


君は、すごく嬉しそう。
道路に走る車に今すぐぶつかりたいと思った。死にたいと思った....私が、弱いから....だから....こうなった。好きって言えなかったから....


次の日、

たっくんは、安西 ゆかりと付き合う事になった。
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