大好きな君へ
「あのね、お母さんがよく作ってくれたんだ。」
そう切りだす倉田くん。


「日曜日の朝に焼いてくれて、シロップがたっぷりかかってて生クリームが乗ってるの。これによく似たホットケーキ。



僕のお母さん、死んじゃったんだ。」




聞いちゃいけなかった。



なんて私は無神経だったんだろう…………



「もうお母さんのホットケーキ食べられないって思ってた。

けどね、やまが見つけてくれたの!
ここのホットケーキを。
このホットケーキ食べた時、あぁ、お母さんのホットケーキだなぁって思ったんだ。」


倉田くんは光を失ったように弱く笑った。
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