情熱効果あり
「お疲れ様でしたー」


今日は哲志先輩が施錠当番だ。


「哲志先輩…」


「ん?帰らないのか?」


座って伝票整理をしている哲志先輩が手を止めて、横に立つ私を見上げた。


「先輩、まだかかるのですか?」


「いや、もう戸締まりして帰るよ。どうした?」


哲志先輩は持っていた伝票を処理済みの箱に入れて、立ち上がる。


「今日、蓮と蘭が来たんですよ。で、蓮が哲志先輩がいないことに寂しがっていて、いつお泊まりに来るんだって聞いてきて…」


「うん、で?」


「で、お姉ちゃんが今度の土曜日に都合が良かったら来ないかって…」


哲志先輩が珍しく真っ直ぐ私の顔を見る。ジッと目を合わせるから、私は何となく逸らしてしまった。


「麻衣と同じ部屋に泊まれるなら、行くよ」


「え?あたしと同じ部屋に?蓮と一緒じゃなくて?」



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